26 Dec, 2025

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ロジカルなものに突き詰めた先に、ガザの問題があったり、ウクライナの問題があったり、トランプの登場があったりしてるわけでしょ?だからこそ、ポエティックなものは必要なんです。

〜ひかるが当時取り組んでいたプロジェクトのリサーチの説明を経て〜

ひかる:このリサーチの成績は高かったのですが、その評価ポイントに「Poeticなアウトプットだから」というコメントがあったんです。僕はデザインのコースにいるのになんで詩的であることが評価されるのかあんまり理解できなくて。

吉田先生:私もポエティックだと思いましたよ。

ひかる:いや、これがポエティックであることは僕もわかるんですよ。ただ、ポエティックであることの重要性のをもっと理解したいんです。このリサーチに対して元々2つデザインアイディアをがあったんですけど、最初進もうとしてたアイディアはもうちょいわかりやすくロジカルなものだったんですよ。今紹介したアイディアは、僕が卒業後にアートスタジオで働きたいと思っていたのでそのポートフォリオになればなと思い意図的にアートに寄せたやつで。

吉田先生:なるほどね。

ひかる:ヨーロッパの人がどうやらポエジーを重要視すること自体はまぁわかるのですが…戦略的でロジカルなデザインのコースでもポエジーに重きを置かれるのは、ポエジーにもある種ロジックがあるんじゃないなかって考え始めているんですよ。そこ、吉田先生はどう思いますか?

吉田先生:僕も完全に把握しきれてないけれども、語りきれないことに対して彼らは評価をするよね。

ひかる:というと、、、?

吉田先生:言語の限界性みたいなものを差し示すことによって何か伝わるものがあるんじゃないのか?みたいなことは、ずっと考えられてきてるよね。

ひかる:なるほど。

↑わかってない

吉田先生:でもこのポエティックってね、僕たちが考えるポエジーと違うよ。全然違うと思います。

ひかる:はい、僕の知っている詩的って言葉とニュアンスが違う。その違いの存在に気付けたのが、とりあえずここ半年の僕の一番大きいtake awayなんですよ。

吉田先生:京都のね、龍安寺とかの石庭とかをヨーロッパの人に見せるとね、ポエティックだねって言うわけですよ。でも「それは違うだろ」って僕は思ってるわけよ。心の中で。でも一応、「ポエティックだねー☺️」って返すわけよね。

ひかる:笑笑

吉田先生:龍安寺の石庭に対して僕たちはポエティックなんて思わないわけですよね。とんでもなく壮大な何かでしょ。ただ彼ら彼女らにとってはポエジーなんだよね。そういう違いがあるよ。

ひかる:なるほど。

吉田先生:彼らは自分の庭にブッダの像とかおいたりしてwabi-sabiとか言うじゃない。

ひかる:あ、確かに腕に「侘び寂び」って縦書き漢字タトゥー入れてる友達ロンドンに2人います。

吉田先生:でしょ?だから、自分が把握できないものに対してポエティックだねとかっていう感じがある可能性があって、 そこにあんまり深みはないのかもしれない。

ひかる:えっ?

吉田先生:ただ、ヨーロッパ全体の今の流れが、ロジカルなものを突き詰めることに疲れてるじゃないですか。ロジカルなものに突き詰めた先に、ガザの問題があったり、ウクライナの問題があったり、トランプの登場があったりしてるわけでしょ?だからこそ、ポエティックなものは必要なんです。ひかるくんのチューターはそこを伸ばそうとしてくれてるんじゃないですかね?

ひかる:なるほど〜確かに、ちゃんとポエティックであるための導きがあったと思います。実際このアイディアに至るまでにいろんなチューターから何度もアドバイスをもらいました。でも、昔のヨーロッパは「ロジック!!」っていうような雰囲気が今ほど少なかったんですか?

吉田先生:僕がいたときは戦争がなかったからね。今のひかる君が見てるヨーロッパと、僕が送った青春時代のヨーロッパは全然違うヨーロッパよ。まったく違う感じがするよね。

ひかる:そうですか。

吉田先生:まずね、トランプとかガザの問題とか、ロジカルに解決できるわけないじゃないですか。その中でポエジーを重視するの、、、まさにいいアドバイスだよね。僕も同じ立場だったらひかる君にそう言うよね。

ひかる:あ〜なるほど。だんだんわかってきました。僕、今回のリサーチの時にジャック・デリダを頑張って読んでたんですけど、彼のシュミット分析が面白くて。デリダは「人道的であること」や「人間的であること」が、シュミットの解釈する政治には含まれない〜みたいなことを言っていたんですよ。

この解釈は、厳密にはデリダのシュミット読解を読解した東浩紀さんの解釈に基づくものです。シュミットが政治的な敵対と個人的な愛憎を切り離して考えていたところまでは比較的明確ですが、そこから「人道的であること」や「人間的であることは政治の外部に置かれる」と完全に言い切る説明はまだ僕にはできていません。

一方で、この東さんの説明から、その解釈が正解かどうかとは少し別のところで自分のプロジェクトにつながる重要なインサイトを得ました。思考の道具を獲得したような言い方ですが、そう言うこともありこう触れさせてもらいました。

sentiments would play no role; there would be neither passion nor affect in general. Here we have a totally pure experience of the friend-enemy in its political essence, purified of any affect…

If the enemy is the stranger, the war I would wage on him should remain essentially without hatred, without intrinsic xenophobia. And politics would begin with this purification.

Jacques Derrida, Politics of Friendship

吉田先生:はいはい。

ひかる:これ、とてもいいポイントだと思ってて、今の話とも接続すると思うんですよ。ポエジーとロジックって、取り巻く時間的スケールが違うし、政治性の有無に繋がってくるというか。ポエジーの話は上手くできないですけど、ロジカルな議論って瞬発的で効率的で、時間的な検証を促す力はさほど強くない気がしていて。

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吉田先生:そうだと思いますよ。

ひかる:だから逆に、事後的に検証を促すものの価値を考えるようになりました。哲学とか倫理とか、おそらくアートもそうですね。そういうものが抱える複雑性とか曖昧さを思考できるから、ホロコーストとか黒人差別とか、何らかの出来事に対する認識はアップデートし続けられるじゃないですか。

吉田先生:そうですね。

ひかる:それに比べてロジックってのは、どんな方向でも正当性を持って説明できてしまうというロジカルな罠がある気がしてます。

吉田先生:そもそも、ヨーロッパの歴史と伝統自体がロジカルな世界観なんですよ。それは古代ギリシャからずっと続いているね。キリスト教も入ってきて、またロジカルさが増していくんだけど。

ひかる:西洋思想は直線的で東洋思想は円環的って話、昔先生がしてくれましたね。

吉田先生:はい。それが何を意味するかを理解するのが重要で、つまり、直線的なヨーロッパの思想では明確な過去があるだよね。だから因果関係が強烈な力を持つ。でも、円環的時間理解の中に生きている人間たちって、日本もそうなんだけど、厳密に言うと過去がないんだよ。ぐるぐる回っているから。

ひかる:はいはい

吉田先生:だから我々ののような十九世紀以降にロジックに触れた日本人と、文化的にもロジックが根付いてる彼らが考えてるロジカルは結構違うんですね。

ひかる:じゃあ、日本人的なその感覚でもってこれに取り組んだら…

吉田先生:道筋はあると思いますよ。

ひかる:僕もロンドン来てからはかなり日本人的な感覚を持ち込むことは意識してました。ブランディングとか希少性じゃなくて、単純に価値を感じているからなんですけど…

吉田先生:見せ方をいろいろ工夫しないといけないですね。そこが一番チャレンジングなところだと思いますよ。下手したらロンドンのカツカレーになってしまうので、その感覚は直訳ではダメです。

ひかる:笑

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「チキン・カツカレー・ポテトチップス」だ。「クリスピーチキンとココナッツカレーのアロマティックな香りの融合」と書かれているが、カツは一体どこ!?

ここまでくると、カツカレーにカツが入っている必要はもはやなく、日本風カレールーをカツカレーと呼んでいたが、今ではカツも入っていなければ、日本のバーモントカレーでもないものが「カツカレー(または、カツカレー風味)」と一人歩きをしているようだ。

Quote:

近藤麻美 ロンドン在住フリーランスライター イギリスのカツカレーブームにモノ申す|近藤麻美 ロンドン在住フリーランスライター近藤麻美 ロンドン在住フリーランスライター イギリスのカツカレーブームにモノ申す|近藤麻美 ロンドン在住フリーランスライター

吉田先生:そもそも完全な翻訳って不可能なことだけど、意訳が大事で。最近では「意訳」「受容化」とかって言うんだけどね。受容されるために訳すというのが、違うコンテキストの人たち伝える手段なんです。例えば松尾芭蕉とか直訳してもナンセンスじゃないですか。「五月雨をあつめて早し最上川」を直訳したらただの濁った激流ですよ。

ひかる:笑

吉田先生:その句の意味することだったり、五七五の制約とかいろんなコンテクストを受容させるためには結構工夫が必要なんだよね。それがひかる君のやるべきことです。

ひかる:なるほど。 (Part 2へ続く) Zoom Call

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ジャック・デリダ(Jacques Derrida, 1930年7月15日 - 2004年10月9日)は、フランスの哲学者である。フランス領アルジェリア出身のユダヤ系フランス人。一般にポスト構造主義の代表的哲学者と位置づけられている。エクリチュール(書かれたもの、書法、書く行為)の特質、差異に着目し、脱構築(ディコンストラクション)、散種、差延等の概念などで知られる。